自力で債権回収を行うのは簡単ではありません。
まず、自力でとなると相手が真剣になりません。
本来は債権を返済する義務があるのですが、口頭で「契約を結んだ」「約束を守れ」と告げたところで、「無い物はない」「だったら警察でも呼んで来い」と、相手を馬鹿にしたような態度を取るケースもあります。
払わなければどうにかなると考えているのです。
実際、払ってくれない場合でも、自力で出来るのは催促するのみです。
口頭で告げられても「はい、分かりました」とだけ告げて何もしない人もいます。
真に受けていない人や、「別に払わなくても何も出来ない」と高を括っているのです。
このような相手の場合、どれだけ催促した所で無視されるのがオチです。
(参考):
どの法的手段を選ぶか 〜支払督促・少額訴訟・通常訴訟の違い。裁判所の管轄の比較〜
そこで暴力にでも訴えようものなら、今度は自分が相手から訴えられる側になってしまいます。
相手が約束を守ってくれないと、自力では八方塞がりになってしまいます。
そこで弁護士の登場です。
相手は約束を破っている自覚があります。
弁護士が出てきたとなると、自分が不利だと察知します。
弁護士の場合、法律を駆使する事も可能です。
法律の専門家である以上、延滞を続けていると、普通の人ではなかなか出来ない「次の一手」を考えてくれます。
法律の専門家と法律の勝負をして勝てる人はいません。
弁護士が出てきた。その事実だけで観念し、支払ってくれる人もいます。
弁護士というネームバリューは、悪い事をしている人間には絶大な効果があります。
もちろんネームバリューだけではありません。
法知識にも長けていますので、支払いに応じなければ応じない程、自分の首を絞めていく事になります。
トラブルになる事もありませんので、債権回収は初めから弁護士に依頼した方が無難です。
当事者同士で話し合った場合、感情がもつれ、暴行など他のトラブルになる可能性もあります。
ですが弁護士相手にはそのような事もなく、法律に則った上で何をすべきなのかを冷静に言い渡されるだけです。
債権回収を依頼する弁護士の決め方
債権回収を弁護士に依頼する場合、債権回収が得意な弁護士に依頼すべきです。
「弁護士」と言っても人それぞれで、それまで担当してきた案件によって得意分野が異なります。
弁護士は弁護士になった時点で高度な法知識を持っていますが、弁護士になってから得る知識の方が大切です。
担当した案件次第で、弁護士として進むべき道も変わってきます。
案件を担当すればするほど、高名になり、「○○(案件)ならあの弁護士が良い」となっていくのです。
債権回収に強い弁護士は、債権回収関連の知識に優れているだけではなく、これまでに何度も債権回収を行ってきています。
手続きだけではなく、心情面も考慮し、どのような手順で進めるのが良いのか。
相手にかける言葉は何が良いのか。
これらを熟知しています。
(参考):
各種売掛金などの債権回収の方法、内容証明郵便など、債権回収の法律事務所への代行について
債権回収がデリケートな問題なのは、貸している相手に言うだけではなく、言ってお金を返済してもらわなければならない点です。
高圧的に理論でねじ伏せるだけではなく、相手にお金を支払ってもらわなければなりません。
圧倒的な法知識によって相手を追い詰めるのも悪い事ではありません。
ですが、追い詰めるだけでは意味がありません。
債権回収に精通している弁護士であれば、その点をよく理解していますので、波風立たせず、問題を解決出来ます。
ですが、債権回収に関して、法律上だけの理解しかない弁護士の場合、交渉で相手を不愉快な気持ちにさせてしまう可能性もあります。
法律に準拠しているとはいえ、支払うのは相手です。
弁護士としての腕の見せ所ですが、債権回収に慣れている弁護士は法知識を発揮するだけではなく、相手の心情まで考えた交渉を行ってくれます。
結果、債権回収出来る可能性が高まります。
弁護士は法律のスペシャリストですが、担当案件によって得手不得手があるのも事実です。
一般的に、弁護士と言えば法律の事をなんでも知っている存在と思われがちですが、彼らもまた、得意分野があるので、依頼するなら債権回収が得意な弁護士を見つけましょう。
最終更新日:2017年3月2日