ユニセフは子供たち、特に最も支援が届きにくい子供たちを中心に、彼らの命と健康を守るために活動しています。
子供たちの命に直結する栄養や水・衛生や保健の分野から、将来を豊かにするための教育、さらには自分自身を守ることが難しい分野である暴力や搾取、エイズなどの支援も行っており、活動するための資金は個人・企業・団体・各国政府などの募金や任意の拠出金で調達しています。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
ユニセフの活動は多岐にわたり、2015年9月の国連の総会で採択されたSDGs、つまり持続可能な開発目標に必要な17の分野に資する取り組みも行ってきました。
例えば、採択のための協議の段階で、各国や関係団体に子供たちの課題が含められるように働きかけを行ってきました。
その土台となったのが、子供たちは保護の対象というだけでなく、世界を変革する重要な担い手としての役割があるとした「持続可能な開発のための2030アジェンダ」です。
この提言を行うことで、子供たちの実情を把握するためのデータ整備の重要性や、子供たちの課題を解決するための具体的な実施事項に焦点があてられるようになってきています。
それで、子供たちの窮状に直接手を差し伸べる活動に加えて、正しい考え方を持つための活動にも力を入れています。
SDGsの取り組みを子供たちに向けてわかりやすく説明すること
その一つが、SDGsの取り組みを子供たちに向けてわかりやすく説明することです。
これらはユニセフのウェブコンテンツとしてだれもが閲覧できるようになっていますが、その説明の方法がわかりやすく、子供だけでなく大人たちも参考にしたい内容です。
まず、SDGsを端的に「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」と説明しています。
この説明から、今までの暮らし方を改めない限り、近い将来の展望すら見通せない現状が理解できます。
実際問題として、貧困や紛争、気候変動に加えて全世界を巻き込む感染症などは喫緊の課題で、この地球に住む人すべてが安心して暮らすためには、世界中の異なった立場の人たちが忌憚なく話し合い、課題を浮き彫りにして解決するための道筋を身に出していくこと必要です。
そしてその点を子供たちが理解しやすいよう、若くしてノーベル平和賞を取った女性や世界的に有名な女優などが登場し、すぐに取り組みを始める必要性を映像の形で提供しています。
さらに、持続可能な開発目標を掲げる必要性が出てきた歴史をたどり、加えて人権を尊重する考えが広まった経緯も簡潔に説明しているので、子供たちが人類の歴史を理解する助けも提供しているといえるでしょう。
SDGsでは具体的に17の目標を掲げている
そして、SDGsでは具体的に17の目標を掲げていますが、その取り組みの方法についての説明もわかりやすいものです。
例えば3番目で取り上げられている「すべての人に健康と福祉を」という目標では、アフリカ地域で2人に1人の子供が、風邪で肺炎になっても治療が受けられない現状が示され、先進国で潤沢に医療を受けられる子供たちに、医療後進国に生活する同世代の現状がわかるように具体例を明示しています。
そのような現状を知ることで、病気になってもお医者さんに診てもらえない地域があることや、国や地域によって状況が大きく異なることを理解する助けとなっているようです。
そして、達成すべき目標を示し、そのために実際に実現するための方法の詳細を記載していて、その中には先進国でも問題となっている交通事故や麻薬・アルコールに関する問題も含められ、自分のことのように考える助けをしています。
ユニセフの取り組みは大きな成果を上げつつある
ユニセフが行う、子供たち自身がSDGsを自分事のように考えるように促す取り組みは大きな成果を上げつつあります。
例えば、マングローブの豊かな森が地球温暖化の防止や生態系の維持に役立っていることを知った子供たちが、マングローブの森を守る取り組みを始めているケースが報告されています。
また、視力が弱いことで視覚障がい者の辛さを理解し、簡単な音声コマンドを使ってコンピュータのプログラミングができるようにアプリを開発し、障がい者の雇用に結びつけた少女もいます。
さらに、トイレを使う習慣がない地域で、屋外での排泄をゼロにするための取り組みを進めた学生が出てきており、その地域での安全な水やトイレを提供することにつながった例もあるようです。
国連が主催する「地球サミット」
また、発言の場でも子供たちの活動が注目されています。
例えば、国連が主催する「地球サミット」では、子供の代表者が発言することで、多くの人の心をひきつけ、子供たちが主体的に行動を起こすきっかけとなっています。
さらに、難民となり、難民キャンプで過ごしてきた方が、特に女の子たちが教育をあきらめないよう伝え続け、のちにユニセフ親善大使として、より発言力のある取り組みを続けるケースも報告されているようです。
まとめ
子供たちの積極的な行動は、他の子供たちにも大きな影響を与えていて、持続可能な世界を実現するために自分の行動宣言を作り、実施している子供たちが増えています。